Griftのストーリー(架空の物語)・数値化の落とし穴
エンジニアを100点満点で採点しようとした会社の話
1つの点数は分かりやすい。並べられるし、線も引ける。けれど、その点数は何を測ったものなのか。採用の効率化を任された部長の話です。
「70点以上だけ、面談に進めよう」
SES企業で採用と配属を担当する中村部長(仮名)は、応募が増えて困っていました。書類を読むだけで1日が終わってしまいます。そこで、エンジニアを100点満点で採点する仕組みを入れ、70点以上の人だけを面談に進めようと考えました。点数はGitHubの活動量や使っている言語などから自動で計算されるものです。
導入の前に、テックリードの小林さん(仮名)に意見を聞きました。小林さんは試しに自分の点数を出してみて、こう言いました。「僕、62点でした。仕事のほとんどが非公開のリポジトリなので」。
点数にした途端、消えるもの
62点という数字には、何が入っていて、何が入っていないのか。点数だけを見ても分かりません。
- 何を測ったのか(コミット数か、言語の数か、テストか)
- どの期間を見たのか(直近1年か、5年か)
- どの母数で割ったのか(10件中の5件と、1,000件中の500件は、同じ50%として扱ってよいのか)
- 見えていないものは何か(非公開の仕事、gitの外の仕事)
1つの点数にまとめると、こうした条件が消えます。そして、条件が消えたまま、70点という線で人が分けられます。小林さんのように、見えない場所で仕事をしてきた人ほど、低く出てしまうかもしれません。
Griftが点数を出さない理由
Griftは合成スコアも、順位も、合否も出しません。出すのは、分子と分母の付いた検査値と、測った条件です。たとえば「本番コードを変えた274件のうち73件で、テストも同時に変更(test co-change 0.27、73 of 274)」のように、何を、どの母数で数えたのかが、そのまま残ります(数値は説明のための例です)。
さらに、Griftの利用規範(norms)は、次のような使い方を「準拠しない」としています。
- 1つの数値だけで足切りすること
- 記録が無いことを、実績が無いと読むこと
- 複数の数値に重みを付けて、1つの点数に換算すること
母数が20未満の値は率を出さず、見えない履歴は「観測されていない」と書きます。点数をつけないのは、手を抜いているからではなく、条件と限界を隠さないためです。
線を引くのをやめて、読む
中村部長は採点の仕組みの導入を見送りました。かわりに、候補者が共有してくれた記録を、面談の前に読むことにしました。数値は合否を決めるためではなく、面談で何を聞くかを決めるために使います。
書類を読む時間は、思ったほどは減りませんでした。それでも、「なぜこの方を面談に呼ぶのか」を、チームで説明できるようになったそうです。
この物語で伝えたいこと
- 1つの点数は分かりやすい一方で、何を・どの期間で・どの母数で測ったのかが消えてしまいます
- Griftは点数・順位・合否を出さず、条件付きの事実だけを残します
- 数値は足切りの道具ではなく、人が判断するための材料として使ってください
この物語の背景にある課題
数値化の落とし穴:スコアにした途端、条件が見えなくなる
ほかのストーリー
資料ダウンロード
まずは資料で、Griftの中身を確かめる
Grift CLIが何を取り出し、何を出さないかを、20ページの資料にまとめています。申し込みなしでダウンロードできます。
- git履歴から何を取り出し、何を出さないか
- 測る項目と、数値の読み方(分子と分母)
- エンジニア本人と紹介会社さまの使い方
- よくある質問
2026年8月時点(Grift CLI v0.5)の資料です。最新の使い方はGitHubのREADMEをご覧ください。